2階線形微分方程式

2階線形微分方程式①

定数係数の2階線形微分方程式

次の形の微分方程式を考えよう。 $$y^{\prime\prime}+ay^{\prime}+by=0$$

ただし、\(a\) と \(b\) は定数。 このような形の微分方程式は 物理科目 などでたまに見かけるが、どのように解いていくのか確認をしていこう。

解法

No.1 : 同形の2次方程式を解く。

\(\lambda^2+a\lambda+b=0\) を解く。

No.2 : No.1 で得た2次方程式の解から微分方程式の解を得る。

No.1 で得た二次方程式の解を \(\lambda_1\)、\(\lambda_2\)とすると、求める微分方程式の解は定数 \(C_1\)、\(C_2\) を用いて $$y=C_1\mathrm{e}^{\lambda_1}+C_2\mathrm{e}^{\lambda_2}$$

となる。

No.1 で解いたような2次方程式を 特性方程式 という。

特性方程式のしくみ

特性方程式を解かなければならない理由を説明する。 \(y^{\prime\prime}+ay^{\prime}+by=0 \cdot\cdot\cdot\left(A\right)\) の解はどのような関数なのか予想をしてみよう。

 

今回の微分方程式の特徴としては、左辺に\(y^{\prime\prime}\)、\(y^{\prime}\)、\(y\) が共存していることと、右辺が0であることである。

 

つまり、\(y^{\prime\prime}\) の項、\(ay^{\prime}\) の項、\(by\) の項の和が0とならなければならないので、\(y^{\prime\prime}\)、\(y^{\prime}\)、\(y\) はそれぞれ同じ形をした関数である必要がある。

 

なぜなら例えば、式 \(\left(A\right)\) の解となる関数を \(y=x^{3}\) だと予想すると、\(y^{\prime}=3x^2\)、\(y^{\prime\prime}=6x\) と次数が下がってしまい別形の関数となり、元の微分方程式の左辺に代入してみても (左辺)\(=\left(6x\right)+a\left(3x^2\right)+b\left(x^3\right)\) となり、この式が0になるような \(a\) と \(b\) の組み合わせはない。( \(x\)、\(x^2\)、\(x^3\) が相容れないため

 

このような理由で、「べき関数」( \(y=x^{n}\) 型 )は式 \(\left(A\right)\) の解では無さそうである。

同じ理由で「対数関数」も解ではなさそうである。

では、微分しても形の変わらない関数であれば解の候補として適切そうである。「指数関数」なんかはその最たる例である。

それでは、\(y=\mathrm{e}^{\lambda x}\) が式\(\left(A\right)\) の解であると予想しよう。 このとき、\(y^{\prime}=\lambda \mathrm{e}^{\lambda x}\)、\(y^{\prime\prime}=\lambda^2 \mathrm{e}^{\lambda x}\) となるので式 \(\left(A\right)\) に代入すると \begin{eqnarray}\lambda^2 \mathrm{e}^{\lambda x}+a\lambda \mathrm{e}^{\lambda x}+b\mathrm{e}^{\lambda x}&=&0\\\mathrm{e}^{\lambda x}\left(\lambda^2 +a\lambda +b\right)&=&0\end{eqnarray} 両辺を \(\mathrm{e}^{\lambda x}\ \left(\neq 0\right)\) で割ると、 $$\lambda^2 +a\lambda +b=0\cdot\cdot\cdot\left(B\right)$$ なる2次方程式を得る。この2次方程式 \(\left(B\right)\) こそが、式 \(\left(A\right)\) を解くための 特性方程式 であり、式 \(\left(B\right)\) の2つの解を \(\lambda_1\)、\(\lambda_2\) とすると今、元々予想していた解が \(y=\mathrm{e}^{\lambda x}\) だから、

\(y=\mathrm{e}^{\lambda_1 x}\) および \(y=\mathrm{e}^{\lambda_2 x}\) が式 \(\left(A\right)\) の解であることがわかる。

微分方程式の解は重ね合わせの理が成り立つので解 \(y=C_1\mathrm{e}^{\lambda_1}+C_2\mathrm{e}^{\lambda_2}\) を得る。

例題

\(y^{\prime\prime}+5y^{\prime}+6y=0\) を解け。

例題の解答

No.1 : 同形の2次方程式を解く。(特性方程式を解く。)


特性方程式を解くと

$$\lambda^2+5\lambda+6=0$$ $$\left(\lambda+2\right)\left(\lambda+3\right)=0$$ $$\lambda= \begin{cases} -2 \\ -3 \end{cases}$$


No.2 : No.1 で得た2次方程式の解から微分方程式の解を得る。


求める微分方程式の解は定数 \(C_1\)、\(C_2\) を用いて

$$y=C_1\mathrm{e}^{-2x}+C_2\mathrm{e}^{-3x}$$

練習問題

練習問題

\(y^{\prime\prime}-y^{\prime}+6y=0\) を解け。

ひとこと

2次方程式を解くだけ。ただそれだけ。