線形代数

行列式①(サラスの公式)

アニメーションを用いてサラスの公式で行列式を求める様子を視覚的にわかりやすく解説します。サラスの公式は行列式の求め方の記憶術として非常に有名です。

行列式とは?

行列式とは、正方行列の各行各列から成分を1個ずつ取り出して掛け合わせたものを、特殊なルールに沿って足し合わせたものである。

\(abc\) の並べ方(\(3!=6\))通りだけ項が現れる。

足し合わせの符号は、置換と呼ばれる特殊な数学によって定義されている。

上の例の場合、\(abc\) の順序の交換回数が偶数の場合はプラス、奇数の場合はマイナスになる。

交換回数の例

  • 0回:\(abc\)
  • 1回:\(abc\) → \(a\color{red}{cb}\)
  • 2回:\(abc\) → \(a\color{red}{cb}\) → \(\color{red}{b}c\color{red}{a}\)

サラスの公式とは?

行列式の計算は複雑なため、先人達が計算方法を工夫してきた。

その中でも特に支持されているのが、サラスの公式である。

これは、問題でよく登場する2次および3次の行列式を直感的に計算できるようにする方法である。(4次以上は使えない

具体的には、左上から右下への成分の積を「+」に、右上から左下への成分の積を「-」にして足し合わせればよい。

2次の場合

3次の場合

例題1

次の行列式を求めよ。

$$\begin{vmatrix}a & b\\c & d\end{vmatrix}$$

解答

2次の行列式なのでサラスの公式が適用でき、

$$\begin{vmatrix}a & b\\c & d\end{vmatrix}=ad-bc$$

例題2

次の行列式を求めよ。

$$\begin{vmatrix}2 & -2 & -1 \\1 & -2 & -2\\-1 & 3 & 4\end{vmatrix}$$

解答

3次の行列式なのでサラスの公式が適用でき、

$$\begin{align}&\begin{vmatrix}2 & -2 & -1 \\1 & -2 & -2\\-1 & 3 & 4\end{vmatrix}\\=&+2\cdot (-2)\cdot 4\\&+(-2)\cdot (-2)\cdot (-1)\\&+(-1)\cdot 1\cdot 3\\ &- 2\cdot(-2)\cdot 3\\&- (-2)\cdot 1\cdot 4\\&- (-1)\cdot (-2)\cdot(-1)\\=&+(-16)+(-4)+(-3)\\&-(-12)-(-8)-(-2) \\=&-1\end{align}$$

まとめ

  • 行列式とは、各行各列の成分の総乗の、置換符号による総和である!
  • サラスの公式を用いることで、2次および3次の行列式を求めることができる!