変数分離

変数分離形の微分方程式

変数分離形の微分方程式

微分方程式を学習する際に初めに遭遇するであるだろう「変数分離形」と呼ばれる微分方程式の解説をする。

解き方

次の形の微分方程式を考えよう。

\(y’=\)(\(x\)の関数)×(\(y\)の関数)

このような形の微分方程式を変数分離形の微分方程式という。

微分方程式の左辺と右辺それぞれを「 \(x\) だけの式」「 \(y\) だけの式」に整理できる特徴がある。

また高校数学では \(\displaystyle\frac{dy}{dx}\) はあくまで「 \(y\) を \(x\) で微分した記号」ということで上下セットで扱ってたが, 大学数学では \(dy\) と \(dx\) をそれぞれ単体で扱っていく。(分数チックに扱う感じ)

簡単に解き方の流れを解説する。

No.1 移項や割り算などで \(y’=○○\) の形を作る。

No.2 \(y’\) を \(\displaystyle\frac{dy}{dx}\) に置き換える。

No.3 左辺に \(y\) を右辺に \(x\) をかき集める。(数字はどっちでもOK)

No.4 \(dx\) を右辺に移動させる。(両辺に \(dx\) をかけるイメージ)

No.5 両辺にインテグラル \(\int\) を装着して積分する。

例題

\(y’-4xy=0\) を解け。

[解説]

No.1

まず移項して \(y’=○○\) にする。

$$y’=4xy$$ 

No.2

\(y’\) を \(\displaystyle\frac{dy}{dx}\) に書き換える。

$$\displaystyle\frac{dy}{dx}=4xy$$

No.3

両辺を \(y(\neq0)\) で割って左辺に \(y\) を右辺に \(x\) を集める。

$$\frac{1}{y}\frac{dy}{dx}=4x$$

No.4

\(dx\) を右辺に移動させる。

(両辺に \(dx\) をかけ算するイメージ)

$$\frac{1}{y}dy=4x\ dx$$

No.5

両辺にインテグラル\(\int\)を装着して積分する。

$$\int \frac{1}{y}dy=\int 4x\ dx$$

\(\ \ \ \ \ \ \ \ \ \)\(\log |y|+C_1=2x^2+C_2\)

(\(C_1\),\(C_2\)は積分定数)

\(\ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \)\(\log |y|=2x^2+C_3\)

(\(C_3=C_2-C_1\))

\(y=\mathrm{e}^{2x^2+C_3}\)

\(=\mathrm{e}^{2x^2}\mathrm{e}^{C_3}\)

\(=C\mathrm{e}^{2x^2}\)

(\(C=\mathrm{e}^{C_3}\ \ \):\(\ \ \mathrm{e}^{C_3}\)は\(\ \mathrm{e}\ \)の定数乗だから定数)

$$y=C\mathrm{e}^{2x^2}$$

練習問題

練習問題1

\(y’=x^2 y\ \)を解け。

練習問題2

\(y’=4y^\frac{3}{4}\ \)を解け。

練習問題3

\((1+x^2)y’=y\ \)を解け。

練習問題4

\(y’=y\cos x\ \)を解け。

練習問題5

\(yy’\sqrt{1-x^2}=1\ \)を解け。

解答はこちら ⇒ 練習問題の解答#1

ひとこと

「変数分離形」の微分方程式は右辺と左辺で「 \(x\) と \(dx\) のグループ」,「\(y\) と \(dy\) のグループ」に式を整理して積分することで解くことができる。

それでは出題された微分方程式が「変数分離形」とどこで判断するのか。

結論としては, その微分方程式が右辺と左辺で「 \(x\) と \(dx\) のグループ」,「\(y\) と \(dy\) のグループ」に分断できるか否かであり, すなわちNo.1で \(y’=○○\)に整理したときに

\(y’=\)(\(x\)の関数)×(\(y\)の関数) の形になっていれば今回説明した解法を使うことができるということである。

例えば, 

\(y’=\displaystyle\frac{\sqrt{1+y}}{\sqrt{1+x}}\) は

\(y’=\)\(\left(\displaystyle\frac{1}{\sqrt{1+x}}\right)\)×\(\left(\sqrt{1+y}\right)\)

\(y’=\)(\(x\)の関数)×(\(y\)の関数) の形であり, 「変数分離形の微分方程式」だと判断できる。

一方,

\(y’=\displaystyle\frac{x^2+y}{x-y^2}\)     は     

\(y’=\)(\(x\)の関数)×(\(y\)の関数)  ではないため, 変数分離形の微分方程式ではない        

 

質問がありましたらコメントにお願い致します。