線形代数

行列の階数

例題を解きながら行列の階数(ランク、rank)の具体的な求め方を複数の視点から解説します。行列の階数は行列の特性を調べるために重要な考え方です。

行列の階数とは?

行列の階数とは、その行列の簡約化の主成分の個数のことである。

主成分とは、行の0でない最も左側の成分のことである。

すなわち、階数を求めるには行列を簡約化すればよい!

例題

次の行列 \(A\) の階数(\(\mathrm{rank}\:A\))を求めよ。

$$A=\begin{pmatrix}0 & -3 & 3 & -2 & 1 & -7 \\0 & -3 & 3 & -2 & 1 & -7 \\0 & 3 & -3 & 2 & 0 & 9\\0 & -2 & 2 & -1 & 1 & -4 \end{pmatrix}$$

No.1:行列を簡約化する

$$\begin{pmatrix}0 & -3 & 3 & -2 & 1 & -7 \\0 & -3 & 3 & -2 & 1 & -7\\0 & 3 & -3 & 2 & 0 & 9 \\0 & -2 & 2 & -1 & 1 & -4 \end{pmatrix}$$

$$\rightarrow\begin{pmatrix}0 & 1 & -1 & 0 & 0 & 3 \\0 & 0 & 0 & 1 & 0 & 0 \\0 & 0 & 0 & 0 & 1 & 2 \\0 & 0 & 0 & 0 & 0 & 0\end{pmatrix}$$

行列の簡約化例題を解きながら行列の簡約化の手順をステップに分けてどこよりもわかりやすく解説します。行列の簡約化は線形代数のほとんどの問題で登場する操作であり、ポイントを知っておくことで簡単にできるようになります。...

No.2:簡約化した行列の主成分の個数を数える

主成分の数が3個なので、階数(\(\mathrm{rank}\:A\))は3になる。

階数が3であることは、簡約化した行列の他の見方でも求められる。

階段の段数→3段

零ベクトルでない行の個数→3個

主成分を含む列の個数→3個

答え

$$\mathrm{rank}\:A=3$$

まとめ

  • 行列の階数は、その行列を簡約化することでわかる!
  • 行列の階数は、簡約化の主成分の個数を数える!

同値表現

行列の階数には同値表現がある。

最も重要なのは、階数と一次独立の関係性を示す同値表現である。

「\(\mathrm{rank}\:A=A\) の列ベクトルの一次独立なものの最大個数」

そのため、階数によってベクトルの一次独立の判定などができる。